炭酸泉とは、炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯のこと。
別名「ラムネ泉」とも呼ばれ、日本でも古くから親しまれてきました。
日本の温泉法による炭酸泉の定義は、「お湯1リットル当たりの炭酸ガス濃度が250ppm以上」。
その中でも1,000ppm以上のものを高濃度炭酸泉と呼び、この濃度が高いほど高い効果が見込めるといわれています。
炭酸ガスは湯温が高いほど抜けやすくなるため、一般的に炭酸泉はぬるめです(38~40℃)。しかし、シュワシュワと肌の表面にくっつく炭酸ガスには血行を促進させる効果があるので、ぬるめのお湯でも実際の湯温より約2~3℃温かく感じられます。
また、体の芯から温まり、湯冷めしにくいのも炭酸泉の特長。
『ぬるめの湯、されどのくとまりの湯』といわれる所以です。
400年以上の歴史を持つ、飛騨小坂温泉郷の炭酸泉は?
飛騨小坂温泉郷(湯屋温泉・下島温泉)には、日本でも有数の炭酸ガス濃度を誇る炭酸泉があります。炭酸泉で全国的に有名な長湯温泉の平均遊離炭酸濃度が777ppm(長湯温泉旅館組合調査)であるのに対し、湯屋・下島温泉の平均遊離炭酸濃度は1,237ppm(平成24年時温泉分析表)。この数値だけでも、飛騨小坂温泉郷の高いポテンシャルを感じていただけるでしょう。ぜひ飛騨小坂にお越しの際は、国内でも稀な天然炭酸泉で、じっくりゆっくりと長湯をお愉しみください。
天然炭酸泉とは、炭酸ガスが溶け込んだ状態のまま湧き出てくる温泉のこと。
人工炭酸泉とは異なり天然の温泉であるため、炭酸ガスだけでなく、天然のミネラル成分も多く含まれています。
ただし、日本のような火山活動が活発な国では、一般的に泉温(源泉の温度)が高く、炭酸ガスが大量に溶けないため、高濃度の炭酸ガスを含んだ天然炭酸泉に出会う機会は決して多くありません。日本に数か所しかなく、岐阜県で天然炭酸泉があるのは飛騨小坂だけです。なお、泉温の低いヨーロッパ地方では、高濃度の炭酸泉が多く湧き出しており、古来から「心臓の湯」と呼ばれ、民間療法として広く親しまれています。
一方、人工炭酸泉とは、きれいなお湯に炭酸ガスだけを溶かした炭酸温水のこと。
高温のお湯に炭酸ガスを溶かすことができる装置が開発されて以来、病院や介護施設だけでなく、温浴施設、エステサロン、フィットネスクラブなどにも人工炭酸泉が導入されるようになりました。
また、近年では家庭用の機器も販売されています。ただし、いずれにしても、天然炭酸泉ならではのミネラル成分などは含まれていません。
飛騨小坂温泉郷では、天然炭酸泉を使った料理も!
飛騨小坂地方では、古くから炭酸泉を飲んだり、料理に使ったりしてきました。
「無病息災を願い、寒中に炭酸泉で炊いた鉱泉粥を食べる」という風習もあるほどです。飛騨小坂温泉郷には、地元の天然炭酸泉を使った湯豆腐やしゃぶしゃぶなどを出している旅館もあり、肌と舌で炭酸泉の恵みを堪能することができます。
山の湧き水と同じように、天然炭酸泉の湯量は日によって差があります。また、天然の炭酸泉は熱や衝撃に弱く、非常にデリケートです。
ちょっとした湯温の変化で、湯船につかった時の“泡の付き方”も変わってしまいます。
このように、天然炭酸泉の維持管理は非常に難しく、常に同じ条件に保つのは至難の業といえるでしょう。
飛騨小坂温泉郷の炭酸泉は、すべて自家源泉!
飛騨小坂温泉郷(湯屋温泉・下島温泉)の炭酸泉は、すべて自家源泉です。
そのため、泉質や味もそれぞれ個性豊か。飛騨小坂では、温泉巡りとともに“飲み比べ”を愉しまれる方も多くいらっしゃいます。少しずつ異なる飛騨小坂の天然炭酸泉を比較検討し、あなたにぴったりな炭酸泉を見つけてみてはいかがでしょうか?